トワイライトエクスプレスの引退が決定

「トワイライトエクスプレス」が来春引退することが決まった。JR発足後豪華寝台列車の先駆けとなった「北斗星」に続き、JR西日本の看板列車として登場した寝台列車がついに消える。理由は車両の老朽化だという。1989年から25年間、雪や潮風の中をほぼ1日おきに1500kmも走行してきたのだから仕方のないことだとは分かっているが、あまりにも突然の発表に動揺を隠しきれない。現在も乗車率が70%を超えている人気列車で、トップシーズンには数秒でチケットが完売するという。それでも引退しなくてはならないのには「別の理由」もあるようだ。

「ブルートレイン」と言われながら車体はダークグリーン。大きくなった窓と牽引する機関車のEF81も同じ塗装を施された姿は「オリエント急行」を彷彿させる。自分はこれまで運よく3度乗車したことがある。1度目はB個室を利用して長岡駅~札幌駅間、2度目はA個室で始発の大阪駅から終着の札幌駅まで、3度目はやはりA個室で今度は逆のコースを乗車した。時期はすべて運行開始から10年のうちで、ここ15年間はまったくのご無沙汰ということになる。
狭いB個室でも初めての個室は自分だけの空間を独占出来る優越感から、ワクワクして一睡もしなかったことを憶えているし、A個室は関西人の派手好みを意識したのかワインレッドのソファーベッドや金色の取っ手や手すりが取り付けられ、「北斗星」のそれよりも豪華さを醸し出していた。サロンはすべて海側にシートが向けられ、予約が必要だが食堂車でフレンチのフルコースも楽しめる。フォアグラを食べた時、青森へ向かう急行「八甲田」の通路に新聞紙を敷いて横になった時を思い出した。
駅に停車すれば、カメラを抱えた鉄道ファンがお構いなしに窓越しに写真を撮るし、列車の交換時には隣の車両から羨望の眼差しを注がれる。貧乏旅行を経験しているからこそ豪華さをより楽しめる・・・勝手にそんなことを思って勝手に納得ている自分がいた。

この「トワイライトエクスプレス」は3つの編成が必要だった。上り列車の所要時間が下りを50分上回るために、12時発の下り列車が発車した30分後に上り列車が到着するからだ。通常2編成あれば事足りるのだが、これも足かせになっていたのかもしれない。

冒頭の「別の理由」だが、現在函館まで建設中の新幹線は当然青函トンネルを使用する。レールの幅が変わるし、架線の電圧も2万ボルトから2万5千ボルトに昇圧される。そのため従来の車両が走行出来なくなるのだ。従って「北斗星」や「カシオペア」も廃止せざるを得なくなり、決して老朽化の為だけではない理由に、鉄道ファンは戦々恐々としているはずだ。
決して「使命を終えた」訳ではなく、観光的な魅力は今なお衰えてはいない。それを敢えて廃止することは、この国の鉄道にどんな影響を与えるのだろう。頑張っても簡単には手の届かない「七つ星」よりも、少し頑張れば乗ることが出来る豪華で快適な列車を残してほしいし、移動の手段だけでなく、目的地までのワクワク感を演出するような存在であってほしい。機会があればぜひもう一度乗ってみたい。


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