国道279号線

青森県下北半島・むつ市~横浜町の国道279号線で、吹雪の中500台もの車両が立ち往生した。例年の2倍の積雪量で道幅が狭くなり、大型のバスとトラックがすれ違えなかったのが原因だという。この冬最大の寒波が居座って、身動きの取れなくなった車両をどんどん雪だるまにしてしまうほどの激しい雪だったという。車内で暖をとるにも燃料は心細くなってくるし、体力的に厳しい幼児も数多くいたそうで、誰もが身の危険を感じていたに違いない。

そんな人たちを救ったのは、沿線に住む住民と役所の職員たちだった。近くの小学校の体育館や公民館までの小道を除雪して約400名を誘導、暖房の効いた室内で手作りのおにぎりを配ったのだ。何てすごい人たちなんだろうと、他に言葉が見つからないほど温かい気持ちになった。降りしきる雪と寒さの中、「それは警察か自衛隊の役目」と言われても当たり前のことかもしれないのに、個々の家庭でわざわざご飯を炊き、おにぎりにして避難所まで運んだのだ。ニュースの取材で避難していたドライバーたちは、「命を救ってもらった」「暖かい部屋とおにぎりの味が忘れられない」と口々にお礼を述べ、深々と頭を下げていた。一方、おにぎりを差し入れた主婦たちは、インタビューに「うちは2回ご飯を炊いて、全部で60個ぐらい作ったかな。だって、ほっとけないもの」と、屈託のない笑顔で応えていたのが印象的だった。

「助け合いの心」と、文字で綴ってしまえば妙に薄っぺらな印象になってしまうが、暗闇と極寒の中で夜を明かす覚悟をしていたドライバーや同乗者は、まさにこの「助け合い」で命を救われた。おそらくここを通るたびに、この夜のことを思い出すに違いない。

どんなに寒くても、人の気持ちまでは凍らない。
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