病院の待合室

2週間ぶりのカウンセリングへ行ってきました。今日も相変わらずの診断でしたが、診察前に自分と同じ病気で来院した、30歳代の女性の患者さんと付き添いの親御さん。その母親の方と、話をする機会に恵まれました。最初、親御さんひとりで自分の隣に腰掛けてきました。
「あなた、足を診てもらってるんですか?」
「いえ、神経の病気で・・・。うつ病です」
「もう長いんですか?だいぶ軽いみたいですけど」
「普通の生活はしてますけど、まだたまに寝つきが悪い時があるし、気分が悪い時もありますよ」
「実はうちの娘が・・・」
と、親御さんが話を始めました。診察前なので、ちょっとだけ静かな気持ちでいたいとも思いましたが、今から考えると、同じ病気を持った人間に聞いてもらうことで、安心したかったのかなと。

娘さんは昨年うつ病になり、会社を退職して一人暮らしをしていた名古屋から、12月に実家に戻ってきたそうです。航空会社に勤務していたそうですが、セクハラや職場でのいじめが原因で不安定になり、会社を無断欠勤していたことから、親御さんに連絡が入って明るみになったそうです。
「マンションへ行ってみたら、カーテンを閉めたまま布団に包まって寝てたんですよ。食事もろくにしていなかったみたいで、とにかくひどい姿でした」
娘さんの姿が一向に見えなかったので聞いてみたところ、人がたくさんいる場所は苦手で、順番が来るまで車の中で待っているとのことでした。
「自分の時は発作が出て、普通の生活が出来なくなっちゃったんです。一時はもうダメかと思いました」
自分の話を聞きながら、親御さんはただ頷いていましたが、名前を呼ばれたので、そこで話は途切れました。

診察が終って待合室に戻ると、親御さんの横には伏目がちの女性が座っていました。表情は硬く、話をするでもなく、ただ一点を見つめたままでした。
「お大事にして下さい」
ご挨拶をして、自分は薬局へ向かいました。診察は今日で2度目だと言っていました。これから長い時間をかけて、治療とカウンセリングが行われるはずです。治療中の自分が言うのもおかしな話ですが、うつ病は、医師とのコミュニケーションと家族の理解・協力、そして何より本人の治そうという意志が伴わないと、回復への道のりは近くも遠くにもなります。現在うつ病患者は、全国で92万人いるそうですが、きれい事でなく、出来るだけ多くの患者さんが回復されることを望みます。我が子の回復を一心に祈る親御さんを目の当たりにして、つくづくそう思いました。

コメント

シチューパン #3p3E4xCk

 うつ病は心の風邪と言われます。つまり、とりたてて珍しい病気ではないということです。
 でも、風邪だって死ぬときは死んじゃうんです。風邪ひいてる本人はつらくてつらくて、もう駄目かななんて本当に思うんです。
そこを忘れてはいけないなと思いました。
 同僚にも、親戚にも、子ども達にもその家族にも、うつ病は増えている気がします。でも、早診断されるということは単にノイローゼと放っておかれた昔より良いのかも。
 皆が、心安く過ごせるようになることを祈らずにはいられません。
 お大事に。

2007年03月03日(土) 07時00分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

シチューパンさん

うつ病は「心の風邪」ですか・・・。思わず頷いてしまいました。
いただいたコメント全文が、気持ちに染み入ってくるような気がしました。諸手を挙げて喜ぶわけではありませんが、患者が増えることによってその病の研究がなされ、治療法の選択肢が増えることで、救える患者も増えてくるのだと思います。
しかし、どんなに高度な治療法があっても、患者にとって1番願っていることは、家族の愛情ではないでしょうか。もし、自宅で自分の居場所がなくなってしまったら・・・今の自分は、この世に存在していなかったかもしれません。

2007年03月03日(土) 21時14分 | URL | 編集

はらぐろ #mQop/nM.

ギターオヤヂさま
そうですね。うつ病は人事の病気ではありません。本当はうつ病だけど、病院に行けてない方もたくさんいると思います。また、うつ病のひとつ前の段階でうつ状態という病気があります。このほとんどは専門家に行きにくいので、内科に受診される方がいます。今の日本だと、まだ偏見があって、なかなか受診しにくいのだと思います。だから、内科にかかる、なので軽い状態だと内科医が出せるお薬もたくさん出てきました。でも、先程記載した様に、まだまだ内科でも受診されず、我慢されている方がたくさんいます。是非、我慢せずに、受診して頂きたいです。厚生省などの報告では中高年層に増えていると言われていますが、私の感触ではここ最近は主婦層にすごく増えているような気がします。

2007年03月05日(月) 14時56分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

はらぐろさん

「偏見」という大きな壁が、病気で苦しんでいる人を、どんどん隅の方に追いやっているような気がします。勉強会に顔を出すようになって、人の目を気にされている方が多いのに驚きました。決心するのも大変な力が必要だと思いますが、はらぐろさんの仰るように、我慢せずに病院の門戸を叩いてほしいと思います。そこが回復への第一歩なんですよね。

2007年03月05日(月) 20時51分 | URL | 編集


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