また寝台列車が消える

3月14日、また老舗の寝台列車が消えることになりました。年度替りだからなのかは分かりませんが、この時期になると毎年ダイヤ改正とともに列車が様変わりをします。どちらかと言えばさびしいニュースばかりのような気がしてなりません。

今回廃止されるのは、
寝台特急 「日本海」(大阪~青森) 2往復→1往復へ
       「北斗星」(上野~札幌) 2往復→1往復へ
       「あかつき・なは」(京都~長崎・熊本)
寝台急行 「銀河」(東京~大阪)


東北の各路線に特急列車が走り回り、時刻表を眺めるのが楽しくて仕方なかった頃、この地域にも新幹線が登場し特急列車が削減される一方、青函海底トンネルの貫通で上野を出発して翌朝には札幌に到着するという、夢のような寝台特急「北斗星」が登場。夜行列車の縮小は回避出来ると確信していました。
現在日本海沿いに北上する「日本海」には「トワイライトエクスプレス」、「北斗星」には「カシオペア」というように、ほとんど同じ様な路線に豪華仕様の寝台特急が設定されています。しかも、これらは現在でも高い人気を保持していて、予約を取るのも至難の業だとか。どちらも「ブルートレイン」でない独特のカラーリングというのも皮肉。「北斗星」だって登場仕立ての頃は個室をウリにした豪華車両でしたが寄る年波には勝てず、「日本海」共々老朽化の進んだ車両を集約して経費削減の対象になったのでしょう。

京都から九州へ向う「あかつき・なは」は、2005年3月に「あかつき・彗星」(京都~長崎・南宮崎)の「彗星」のみを廃止し、併結相手だった「あかつき」を「なは」に併結して誕生しました。ただ、こちらも新幹線や特急列車の整備が進み、車両の老朽化も手伝って廃止が決りました。

とりわけショックだったのが、東海道本線で唯一残っていた寝台急行「銀河」廃止のニュースでした。1949年に登場して以来増発や併結を繰り返しながら、黙々とビジネスマンを運び続けてきました。というのは、始発の「のぞみ1号」で東京を出発しても新大阪到着は8:25で、「銀河」の7:18の方がゆっくり朝食を取ってから仕事に取り掛かれる時間設定となっています。
ところが新幹線と比較すると料金が2千円以上も高い上に、乗車する時間帯を加味すると夜行バスの方が格段に使いやすい設定になっています。料金だって比較の対象になりません。ここ数年の「銀河」の乗車率が40%というあたりにややきな臭さを感じていましたが、やはり最悪の結果となってしまいました。機関車の先頭にヘッドマークさえ付けず、急行という安価な料金で頑張ってきたのに、本当に残念で仕方ありません。

思い起こせば旧国鉄の全線走破を目指していた頃、夕刻の東京駅に次々と姿を現す寝台列車に憧れ、風格というより威厳すら放ちながら通勤電車を尻目に西へ向う姿を、一心不乱に写真に撮っていました。「いつかはあのA寝台に潜り込み、一晩中流れる景色を見ていたい。」こんなことを思いながら、ホームの端から見送ったものです。「さくら」「あさかぜ」「瀬戸」「出雲」、すべて時刻表に記された列車番号が1ケタで、誰もが一目置いていた存在だっただけに、その時は栄華を極めた青い車体が30年後に消滅するなど想像もしませんでした。

新幹線が博多まで開通したのをきっかけに寝台列車は整理をされ始め、区間を短縮されたり本数を減らされたりと次第にお荷物的な存在となっていきました。逆に新幹線が停車する駅から各方面へ向う特急列車が設定されて、表定速度(停車時間を含んだ平均速度)の遅い寝台列車が通過待ちを余儀なくされる事態があちらこちらで発生しました。東京~長崎間を走る「さくら」、1959年に誕生した歴史のある列車も、晩年は単線区間が多いことが災いし、特急「かもめ」に何本も抜かれるという有様で、東京を18:03という利用しやすい時間帯に出発するにも関わらず、長崎到着が13:05という中途半端な設定となってしまいました。そして、ついに2005年3月に廃止。

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2005.2.11 長崎駅で出発を待つ「さくら」

1956年に日本最初の寝台特急として登場した「あさかぜ」、「走るホテル」と形容されるほど豪華な編成で東京~博多間を疾走しました。さらに東京~下関間という「あさかぜ」も設定され、まさに順風満帆といった状況でしたが、やはり新幹線の博多開業が大きな影を投げかけ、「さくら」とともに2005年3月に廃止されてしまいました。この2本の寝台特急の廃止は、本当に信じられない出来事となりました。

日本の大動脈東海道本線は変革の一番手として、常に話題に事欠くことがありませんでした。翌年の3月には「出雲」が廃止、以降「富士・はやぶさ」「サンライズ出雲・瀬戸」、寝台急行「銀河」が細々と運行されていますが、その「銀河」の廃止が決定となり、他の車両も増備や改良がされないまま、その行く末は混沌としています。

幸い旧国鉄全線走破を達成するまでに、ほとんどの寝台特急に乗車することが出来ました。満員の通勤列車から羨望の眼差しを浴びて非日常的なひとときを味わったり、名前も知らない早朝の駅で新聞の積み込みを見たり、向かい合わせになった乗客と話が弾んで一睡もせずに目的地に降り立ってみたり・・・。そんな旅情は、これからどうなってしまうんでしょうか。時間をお金で買ったり、空調の効いた快適な車両で旅することが現代のスタイルのようですが、自分が経験してきた旅はもうしたくてもすることが出来ません。

今回廃止が決った寝台列車は、最期の日まですべて切符が完売しているということです。「無くなるから乗る」というのではなく、日頃から利用していれば終焉を迎えることはなかったかもしれない・・・そう思うのは、いち鉄道ファンの我儘でしょうか。

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2001.6.10 早朝の東海道を東上する「出雲」(三島~函南間)

コメント

べてぃ #WjAGQ1z2

こんにちは^^

ギターオヤヂさんは鉄道にとても詳しいんですね。全線走破、楽しかったでしょうね。私は乗るのは好きですがデータ的なことはよく知らないので、ギターオヤヂさんの記事を見なければ、北斗星までがリストラの対象とはわかりませんでした。まだ乗ってないのに~~~。
新しい新幹線も良いけれど、寝台車や夜行列車でのんびり旅行は楽しいですね。学生の頃はよく一人で乗ったのですが、今の私のように経済的にも時間的にも楽しむ余裕がないうちに、気付いたらどんどんできなくなっているのは寂しい限りです。
なんでも早かったり安かったりが良いような、今の日本ってちょっと住みづらいです。

2008年02月27日(水) 22時10分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

べてぃさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

べてぃさんのコメント、何かとてもうれしかったです。「北斗星」という列車名だけでもご存知だったこと、以前ひとり旅をされていたこと。こうして鉄道を愛して下さった気持ちが、オヤヂにも伝わってきたからです。

鉄道は小さい頃から好きでした。特に「乗る」ことがたまらなく好きで、10年以上かけて全線走破をしました。たくさんの経験をしたり、紀行作家の故宮脇俊三先生とお知り合いにもなれました。そんな夢を与えてくれた数々の列車が消えていくのは、とてもさびしいことです。

>経済的にも時間的にも楽しむ余裕がないうちに、気付いたらどんどんできなくなっているのは寂しい限りです。
べてぃさんのこのひとことがすべてです。望んでも出来ないことは残念で仕方ありません。

2008年02月27日(水) 23時03分 | URL | 編集

海月 #9xVGaoVI

おはようございます

そうなのですか…
「廃止」
寂しいですよね・・。
特に乗った事がある方には、色々な思い出が詰っていると思うので
とっても寂しいと思います。

私は寝台列車には1度も乗った事がなくって
1度でいいから乗ってみたい‥なんて思っています。
でも、飛行機や新幹線などの本数が多くなり
だんだんと寝台の活躍が減ってしまうのでしょうか…
寂しいですね…(ToT)

2008年02月28日(木) 06時54分 | URL | 編集

momo2006 #-

寝台列車はボクも好きです。独特の風情がありますよね。
ブルートレインなんて言ってたのは、今は昔なのかな。

トワイライトエクスプレスもカシオペアにも乗りましたが、鄙びた寝台列車が次々となくなっていくのは、寂しい限りです。

利便性よりも豪華さがこれからの売りになるんでしょうかねえ・・・。

2008年02月28日(木) 18時51分 | URL | 編集

カプチーノ。 #-

小さい頃、寝台列車に乗っていた記憶があります。
カーテン仕切りになっていて、確か ・・・ 二段ベットのような感じだったような(?)
列車で食べる お弁当は 格別! 美味しく感じていましたね~笑

時代の流れに伴う結論でしょうが、惜しまれて姿を消す ・・・ という意味では
  "走るだけ走った、その姿に、喜んでもらえた"
列車 そのものにとっては、本望なのではないでしょうか。
お疲れ様。 そんな思いが走りますね。

2008年02月28日(木) 20時17分 | URL | 編集

こーちゃん #-

二十歳ごろだったかな?
1度だけ東京行きの寝台車に乗って友達の家に遊びに
行った事がありますよ。
ワクワクし過ぎて眠れなかったですね、ベットでもぞもぞ
起きてはウロウロ(笑)

しかしこう言う旅を純粋に楽しむ車両が無くなるのは、寂しい事です。
便利になると言う事の影には、こう言った消えていくものが存在するって事ですね。

2008年02月28日(木) 22時08分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

海月さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

見たことがある、写真に撮ったことがある、乗車したことがある、思いの強さはまちまちだと思いますが、業務として関わった方々も含めて、廃止という現実は大きなショックです。

もし、会長がこの先寝台列車に乗車する機会があった時は、ぜひカメラ持参でお願いしたいなぁと・・・。「夜」というテーマが同じなので、会長ならどう切り取るのか拝見したいです。

2008年02月28日(木) 23時23分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

momo2006さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

都会の駅を出発する瞬間が何とも言えません。「ブルートレイン」、今でも十分通用しますよ。momo2006さんも寝台列車がお好きということでうれしいです。「カシオペア」に乗られたんですね。自分は「カシオペア」だけ乗っていないんです。羨ましい・・・。

もともと走行距離が稼げない国なので、夜行列車が育ちにくい土壌だったのかもしれませんが、本数を絞って豪華な方向に進んで行くのかなと自分も思いました。それだけに本当に長い間頑張って走ってくれたと思います。

2008年02月28日(木) 23時50分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

カプチーノ。さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

あの列車の中って独特の雰囲気ですね。見慣れた風景も違って見えるし、お弁当の味も格別です。カプチさんのお気持ち、よく分かります。

>走るだけ走った、その姿に、喜んでもらえた
>列車 そのものにとっては、本望なのではないでしょうか
仰るとおりです。列車や運行に関わった方々は、そういう気持ちで最期の日を迎えるのかなと思いました。「あの時、あの列車で上京したんだよな」、利用した人たちのそんな思い出が、列車には一番なのかもしれません。

2008年02月29日(金) 00時00分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

こーちゃんさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

こーちゃんさんも、寝台の車中ではワクワクドキドキでしたか。そんな気持ちに夜の雰囲気は、なおさら旅情を掻き立ててくれますからね。自分も寝台で寝たという記憶はあまりありませんから(笑)。

採算を考えると、効率の悪いものが淘汰されるのはどの世界も同じですが、1番思い出の多いものが消えていくのは断腸の思いです。鉄道が利用者のニーズに応えるのではなく、本当は利用者が鉄道に合わせなくてはならないのかな・・・そんなことをふと思いました。

2008年02月29日(金) 00時14分 | URL | 編集

ピンピンシニア #-

寝台列車、そういえば、昔一度乗ったことがあります。なかなか休みが取れなかったときに、夜を移動の時間に当てたかったからです。それは新幹線が行ってない所でしたから、乗ったのかもしれません。
レールの音を聞きながらウトウトとして、朝、目の前に知らない街があるというのはよかったですね。
今度のときは、列車も魅力ですが、車にテント積んで、津々浦々をのんびりなんていうのもいいなあと思っています。

2008年02月29日(金) 05時13分 | URL | 編集

lunaはちこ #-

私は未だに寝台車へ乗ったことがないんです。
でも、子どもの頃から“ベッド”に憧れていた私にとって、
列車の中に二段ベッドがあるのが魅力で…v-352
乗ってみたい気持ちは今でもあるけど、
何せ旅をするのが苦手な私なので、きっと乗らずに過ぎてしまうのかなぁv-356

2008年03月01日(土) 07時50分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

ピンピンシニアさん

おはようございます。
コメントありがとうございます。

夜を移動に使えるのは大きいですね。しかも、そうそう経験出来ることではないので、寝る時間を惜しんで外を眺めてしまいます。知らない町で朝を迎えるというのも新鮮。そう考えると、寝台列車の付加価値って大きいと思います。

時間を気にしないでノンビリと歩くのなら、車にテントっていいですね。その代わり日常生活に戻る時に、リハビリが必要かもしれませんが(笑)。

2008年03月01日(土) 09時12分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

lunaはちこ さん

おはようございます。
コメントありがとうございます。

それぞれに得手不得手はありますからね。はちこさんが旅行される機会に巡りあえた時は、寝台列車も選択肢のひとつに加えていただけるとうれしいです。

今の寝台列車はベッドよりも個室に人気があって、数も少ないので予約も大変なようです。昔はベッドも3段式で、中段なんかは腰掛けて着替えることもままなりませんでした。それだけ利用する人が多かったんでしょうね。

2008年03月01日(土) 09時19分 | URL | 編集

蜩 #-

ブルートレインに乗って一度は旅をしたいと長年思い続けていたのですが、それも実現せずに終わってしまうようですね。

>「無くなるから乗る」というのではなく、日頃から利用していれば終焉を迎えることはなかったかもしれない
同感です。
希少価値に群がる人間の嫌な所ですね。

2008年03月01日(土) 23時38分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

蜩さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

蜩さんもブルトレに乗ってみたい派なんですね。蜩さんのお住まいの近くだと、「トワイライトエクスプレス」が運行されています。黒猫さんといっしょに、北海道へなんぞいかがですか? 

思い出に残したい気持ちは分からないわけではないんですが、ほとんどが鉄道ファンに予約を取られて、一般の利用者が気の毒な気もします。またこの時期、事故や部品の盗難もよくニュースになります。列車たちにはきれいな花道を作ってあげたいです。

2008年03月02日(日) 00時14分 | URL | 編集

紅緒 #TEzGU1vU

二度目のこんにちは~♫

九州や東北から本州に出張だとかでしたら、前だったら一泊か?もしくは
寝台列車を利用していたのに、今や、新幹線や飛行機を利用するように
なってきていますので、寝台列車がなくなってしまうのでしょうね。

この私だって、子供は寝台列車に乗りたいって言っていたのに…
未だ一度も寝台列車に乗せることなく、新幹線か飛行機で里帰りしていますからね;汗。

子供たちの修学旅行でさえも飛行機や新幹線なんですものね。
時間がかかるというのは…今の忙しく過ごしている人たちにはそぐわないってことなんでしょうかね?

それと同じように、船も同じようで、前は新婚旅行などで使われていた豪華客船は使わず、飛行機などを利用するようになったと聞きました。
船ものんびり!!寝台列車ものんびり!!!
そういった楽しみ方が…できなくなってきたのは…あわただしく感じて…
寂しさを覚えます。

こちらではもう廃線になってしまった路面電車も、もう見れなくなり…
寂しかったことを思い出しています!!

2008年03月03日(月) 18時16分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

紅緒さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

旅にはいろいろな目的があります。出張、引越し、観光地への旅行・・・。出張や引越しでは一刻も早く目的地に着かなくてはいけませんが、旅行となるとさらに手段は多様化すると思います。早く着いて現地で長く楽しみたいか、到着までのプロセスも楽しみたいか・・・です。
最近は忙しい方が多いので、休みもそう長くはもらえないでしょう。そうなると必然的に新幹線や飛行機の利用ということになります。さびしさは否めませんが、世の中の趨勢には勝てないといったところですね。

2008年03月03日(月) 23時38分 | URL | 編集


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