小さな巨人

先週(2月2日)の「リッキー'sブランチ」は、中学2年生ながら津軽三味線の全国大会で優勝した芹沢萌々果(ももか)さんをゲストにお招きしました。昨年10月に地元紙によって彼女の快挙を知り、「地元にこんなすごい子がいるのなら、ぜひゲストに来てもらおう」ということで実現したわけです。

2月1日の夜に収録を行いましたが、午後7時に所属する民芸衆団「奏鳴曲(そなた)」の代表、父上とともに来局。右手にはスタジオでの生演奏をお願いしていたので、三味線が収納されているケースがしっかりと握られていました。
「こんばんは、よろしくお願いします。」
さすがに礼儀正しい。

初めてのラジオ出演だったからかいくぶん緊張していたようですが、相棒が自己紹介しながらいろいろ話しかけると、すぐに笑顔になって三味線のチューニング(という言い方でいいのかな?)を始めました。
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2007年10月13日付静岡新聞より

4歳から祖母の影響で始めた津軽三味線、「奏鳴曲」で血の滲む練習を重ね、小学6年生頃から大会に出場するや部門優勝の常連となりました。今回の「第4回津軽三味線全国大会」の中高生部門では、もともと力のある男子高校生を退けての優勝だけに、とても価値のあるものだったに違いありません。
収録が始まってオヤヂふたりがあれこれ聞いていきましたが、受け答えがとても中学2年生のそれではありません。はっきりとした声で、しっかりと前を向いて話をしてくれました。
「芹沢さんぐらいの歳だと、ギターとかベースとかドラムなんかに興味があると思うんだけど、どうして津軽三味線だったの?」
「おばあちゃんと私の先生が友達で、楽しそうに三味線を弾いているのを見て私もやってみたくなりました。」
「1日どれぐらい稽古してるの?」
「三味線のお稽古は午後5時から7時までで、ご飯を食べて8時から10時まで民謡と踊りの稽古をしています。」
民芸衆団というだけあって、津軽三味線の稽古だけではなかったんですね。でも、芹沢さんはそんなことをニコニコしながら話してくれました。
「この世界ってそれほど演奏する人って多くないと思うんだけど、大会に出るといつも同じ顔ぶれになるでしょ? ライバル意識とかってある?」
「空き時間に少し話をすることはあります。でも演奏が始まると、どんな音を出すのかとか、どんな弾き方をするのかそればかり見ています。自分が誰も出せない音を出した時が1番うれしいです。」
「・・・・・・・。」
オヤヂらふたり絶句。ラジオなのに、どう切り替えしていいのか相棒でさえ言葉が出ませんでした。そのまま1曲目の「津軽じょんがら節」へ・・・。
ご存知のように津軽三味線は棹が太く、バチで太鼓の部分を叩くように弾きます。こんなか細い腕なのに、出てくる音量といったらアコースティックギターの比ではありませんでした。1m足らずの距離でヘッドホンをはずすと、その音圧に圧倒されます。独特の指裁き、そしてバチ裁き。ずっと目を瞑って聴いていると、まさに大ホールの特等席にいるような錯覚に陥りました。演奏が終わるとますます言葉が出なくなってしまい、小坂Pが上手く繋いでくれました。

「ごめんね、おじさんたち何言っていいのか分からなくなっちゃったよ。」
相棒がようやく正気に戻ってひとこと。2曲目は「北国のソナタ」。「北国の春」とベートーベン作曲の「月光のソナタ」を芹沢さん自身がアレンジしたもの。
「北国の春は先生から勧められて、月光のソナタは自分が好きな曲だったので。」
1曲目と同じ様に、ただただ我々はその音に酔いしれるだけ。申し訳ありませんが、とても言葉で表現することは出来ません。ただ言えるのは、本物に裏付けされた音は聴く者を裏切らないということ。そして、真っ直ぐに心の中に染み入って来るということ。この子はどんな大人になるんでしょう。

最後に相棒が聞きました。
「将来はプロになるの?」
少し考えた後、芹沢さんはこう言いました。
「幼稚園の先生か保育士さんになりたいです。」
「エーーーーーーッ!!」
オヤヂらは思わず大声を張り上げてしまいました。
「三味線はずっと続けるつもりですが、仕事は別のことをやりたいんです。」
最後の最後までオヤヂたちはやられっ放しでした。ただ保育士と聞いて、相棒の目がキラリと輝いたのは言うまでもありません(笑)。

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最後に出演者一同で記念撮影をしました。まだまだあどけない顔をしてるでしょ?

コメント

能天気 #-

努力して、才能もあるのかなぁ、やりたいことが一杯一杯詰まった素敵な女の子ですね。

はぁ~、うらやましい・・・・グチではありませんが、努力しなかった自分にため息、努力してなさそうな我が子にため息。

でも、環境が人をつくる・・・・というか、親である私がだらだらしてたらそれを見て育つ子もだらだら・・・・まず、私がしっかりしなきゃ!!

2008年02月07日(木) 22時30分 | URL | 編集

カプチーノ。 #-

中2 ですか~ ( ̄  ̄;) うーん. 我が息子と 同年とは思えない ・・・。
少なからず、環境が人を育てるとすれば
中2 と言えば、まだ 親の育て方が ものを言う年齢だろうと。
さぞかし、親子さん共々 ご立派なお方なのでしょうね (*^▽^*)
芹沢さん、このまま まっすぐ ご自分の夢に向かって 頑張って欲しいです。

三味線。 まったく 未経験です (琴なら 多少少々)
月光ソナタ (何楽章を演奏されたのでしょう)
それがですね ・・・ あのぉ~ ピアノなら弾けますよ♪
ですが、学生の頃に弾いておりましたので 今は どうでしょう?
 (じゃあ 弾ける♪ って言うなって? ですね~笑)

2008年02月07日(木) 22時36分 | URL | 編集

副社長 #RbGeqkE.

お顔は、やっぱり中学生ですね*^^*
ほっとしましたよぉ。
演奏、お聞きしてみたいです。
どれほどすばらしいのでしょうね…。

幼児教育で津軽三味線のソナタとなれば、こどもにとって贅沢な情操教育になりそうですね。

2008年02月08日(金) 01時05分 | URL | 編集

ピンピンシニア #-

日本の文化をずっと先まで残すというのは、若手に文化を伝承していかないと出来ないことと思います。
かつて、何でもアメリカのものはかっこよくて日本のものは古臭いなどと思った時期もありました。
今は、日本の文化のよさがだんだんとわかってきつつあるように思います。そうなるまでの何十年掛かったことか。トホホです。

2008年02月08日(金) 05時56分 | URL | 編集

海月 #9xVGaoVI

おはようございます

とっても可愛いお嬢さんですね(*^^*)
でも、凄くシッカリとしていて
色々なものを凄く冷静に見ていると思いました。
練習も大変だったと思います。
たくさんのものを乗り越えてきたのでしょうね(*^^*)

私も1度だけ、プロに目の前で演奏してもらったことがあります。
三味線の音は凄く深く
心の奥底まで入ってくる音ですよね^^

夢に向って、頑張ってほしいです。
応援しています(*^^*)

2008年02月08日(金) 06時33分 | URL | 編集

はらぐろ #mQop/nM.

ギターオヤヂさんへ

三味線って、生で聴いたことがありません。どんなんだろう?迫力がありそうですね。

日本の伝統楽器を若い方がなさっていることは素晴らしいことですね。幼稚園の先生や保育士さんになって、また三味線が若い世代に繋がっていく事を願います。

2008年02月08日(金) 14時17分 | URL | 編集

momo2006 #-

すてきですねえ。
 日本の民俗的な文化を中学生ながらしっかりと受け止め、さらに将来の目標まで定めている・・・。
 こういう子がまだまだいることが、日本の救いであり、希望でもあると思います。

 ギターさん、ハードスケジュールみたいだけど、疲れてませんか。
 無理はしないようにしてくださいね。

2008年02月08日(金) 20時00分 | URL | 編集

PON #pmEkgj5E

こんばんは。
すごいなあ、中2なのに。
わたしが中2の時なんて・・・・・(笑)
こういうコがずっと長く伝統芸能を続けてくには、
国の教育の環境が気になってしまいます。

頑張るというよりも、ずっと好きでいてもらいたいと願います。

2008年02月08日(金) 21時55分 | URL | 編集

frusic #qqvQ5iVU

夢を持てるっていいですね。
漠然とでもいいから、どんな人になりたいか
どのような職につきたいか、それは変ってもいいし
ずっと思い続けてもいいし、人に聞かれ
パッと答えられるっていうのは、自分が見えているん
でしょうね。

これから、いろんな意味で挫折や思い通りにいかない
ことを経験して、大きく成長していってほしいですね。
私もそうですが、そのためには、親が守り過ぎないこと
ですね。

ギターオヤヂさん、子供に教えられることって、本当に
たくさんありますね。
自分の子供だけでなく、子供たちの遊んでいる姿や会話を
聞いていると、ハッとすることがあります。
素直でいられること、とても難しいです。(笑)

2008年02月09日(土) 07時45分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

能天気さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

周囲の環境、才能、本人のやる気・・・これらが合致しないと、なかなか芹沢さんのような子は現れないと思います。でも、人にはそれぞれ自分なりの進むスピードがあるはずです。人と比べて一喜一憂するのは簡単に出来ますが、能天気さんのことを必要としている方もたくさんいると思います。ゆっくりゆっくりいきましょう。

2008年02月09日(土) 17時21分 | URL | 編集

蜩 #-

凄いです!
中学生だろうが、大人だろうが、自分の中に芯を持っている人はカッコイイですね。(*^^)v
将来の事もちゃんと考えていて、しっかりされてます!

分かるなぁ~
ホントに素晴らしいものに出会うと、人って絶句しますよね。
魂が揺さぶられるって言うか…
一度、聴いててみたいなぁ~

2008年02月09日(土) 17時25分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

カプチーノ。さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

親御さんとはあまりお話させていただく時間がなかったのですが、やはりその民芸衆団に関わっておられるんじゃないでしょうか。芹沢さんだけでは、ここまで才能を引き出すことはむずかしいと思うんです。どこかで躓いても、声をかける頃合を分かっていらっしゃるんだと思います。

ギターはフレットを切ってあるのでどこを押さえれば何の音が出ると分かりますが、三味線はフレットレスです。そこが信じられません。
「月光ソナタ 」はよく聴くフレーズだったので、恐らく第一楽章だと思いますが・・・。すみません、曖昧で。カプチさん、ピアノOKなんですか? オヤヂはピアノ弾ける人も羨ましくて仕方ありません。

2008年02月09日(土) 17時32分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

副社長さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

そうなんです、三味線を持っていなければどこにでもいる中学生です。持った瞬間に顔つきが変わったのには驚きました。

津軽三味線は音量が大きくて、瞬間的な音圧が耳に響きます。しかも旋律も高低が激しく入れ替わって、リズムも速い。女性の弾き手が少ないのも頷けます。1曲の演奏時間が3分と決められているそうなので、中2の体力ではギリギリなのかもしれません。
でも、本物(生音&演奏)は本当に迫力が違いました。感激です。

2008年02月09日(土) 17時40分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

ピンピンシニアさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

伝統文化というのは、技だけが先行してしまっても心の部分が伴わないと、「継承」ということを考えるとやはり片手落ちになってしまうと思います。指導者がいて弾き手がいて愛好者が存在しないと、その文化の継承やレベルの底上げは厳しいかもしれません。
自分も最近「雅楽」を聴くようになりました。歳のせいでしょうか(笑)。

2008年02月09日(土) 17時51分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

海月さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

大人と一緒にいる時間が長いと、振る舞いや考え方も大人っぽくなるのでしょうか。でも、培ってきた技術がそれをしっかりと後押ししているので、天狗になったり見下ろすような態度はまったくありませんでした。友達のことを聞けば、「○○が楽しいです」とか普通に答える中学2年生です。

会長は直に三味線を聴いたことがあるんですか? でしたら、その迫力はお分かりですよね。あれだけ間近で聴いたことは無かったので、もう感激しまくりでした。
この先も色々あると思いますが、いい意味で大切に育ててあげたいですよね。

2008年02月09日(土) 19時38分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

はらぐろさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

三味線の音ですか? 通常のものであれば弾き方や音は優雅というイメージがあると思うんですが、津軽三味線はとにかく力強い。聴く者に何も言わせないような圧倒的な押しの強さを感じました。目を瞑ると、コンサートホールから次第に吹雪の八甲田山が浮かんできました。

弦は本来絹糸を使うそうですが、すぐに切れてしまうために現在はナイロン弦を使用しているそうです。クラシックギターと同じようなものですが、その音たるやまるで別物でしたよ。
この先も切磋琢磨、自分なりの音を追及して欲しいものです。

2008年02月09日(土) 19時44分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

momo2006さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

大きなイベントは終わりましたが、長男がいた野球団の野暮用が残っていたりして、だらだらと仕事をしています。でも、何かやっていた方がボケなくて済みます。ご心配ありがとうございます。

伝統文化でもスポーツでも、小さな頃から始めていればそれなりの結果を残すことは可能だと思いますが、ある程度の年齢に達すれば、スポーツの場合は指導者に転進することを余儀なくされます。そう考えると、三味線は弾き手と指導者と両方で活躍出来るのではないかと思います。
ぜひ日本の文化を継いで欲しいと思います。

2008年02月09日(土) 20時14分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

PONさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

自分の中学2年生の頃と比べると、とても比較なんて出来やしません。もう棲んでいる世界が違います。遊ぶ時間さえすべて稽古に充ててきたのでしょうけれど、本人の納得ずくですから「やらされた」という雰囲気はまったく感じませんでした。これが「本物」というものなのでしょう。

>頑張るというよりも、ずっと好きでいてもらいたいと願います
まさにそれです。その中から自分の色を見つけて、磨いていって欲しいと思います。

2008年02月09日(土) 20時22分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

frusicさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

何かに長けている子供はたくさんいます。でも話をしてみたり仕草を見たりすると、それだけに集中しすぎて何も答えられない子も多いと思います。中には天狗になって大人を大人とも思わない子供を見る時がありますが、ひとりの人として育てていくのは相当慎重にやらないといけないのではと感じます。

芹沢さんはあれだけの力量と数々の賞を獲得していますが、自分ひとりの力ではないこと、まだまだ未熟だと認識していること、そして自身が進みたい道をしっかりと見ていることが素晴らしいと思いました。たくさん苦労してたくさん笑って、成長していって欲しいですね。

チビが4月で3歳になります。最近の発言や記憶力には度肝を抜かれることがあります。毎日が楽しいです。

2008年02月09日(土) 20時39分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

蜩さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

特別な技量や存在感があると、オーラが出ていて近寄りがたいという雰囲気がありますが、芹沢さんはどこにでもいる中学生でした。でも一旦三味線を手にすると、一瞬にして弾き手の顔に変わります。そして出てくる音はまさに大人顔負けの、正真正銘の津軽三味線の音なんです。この切り替えが出来ることが、本当にスゴイと思いました。

これからも全国で大会があると思います。もし近くの会場で開催される時は、ぜひ足を運んでみて下さい。

2008年02月09日(土) 20時45分 | URL | 編集

紅緒 #TEzGU1vU

こんにちは♫(本日二度目のコメントになりますが;汗)

最後の写真、とっても可愛らしい四人ですね♪
左のお二人がこの手でギターを演奏され、そして、あどけない芹沢さんの小さな手が、また素晴らしい三味線の音を奏でるなんて…素敵素敵です♪♪

リッキーさんが芹沢さんに吸い寄せられるように?傾いておられるのを見て…微笑ましいような癒されるような気分です。
また、いつもは撮る側のギターオヤヂさんが恥ずかしそうに写っておられるのが、私にはまた新鮮で…嬉しくなりました♪
(ところで、この写真は誰が撮られたのですか?
いつもは撮る側のギターオヤヂさんですが、撮られる気分はいかがでしたか?
ちなみに、私は写真に撮られるのが大の苦手です;汗汗汗)

また、芹沢さんが保育士さんになられたら、小さな子供たちが芹沢さんの三味線を聞いてまた興味を持って…どんどんと音楽が広がっていくといいなぁ~と思います。

2008年02月12日(火) 16時52分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

紅緒さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

この写真は、芹沢さんの父上が撮って下さいました。自分が撮ろうとしたら、「みなさんいっしょに」と言って下さったので甘えてしまいました。芹沢さんも緊張が解けて、いい顔していますよね。自分も紅緒さんと同じで、どうも撮られる方は苦手です。

芹沢さん、これからたくさんの人と出会うと思いますが、そこから得たものをぜひ三味線に活かしてほしいです。ますます音楽観が広がるはずですからね。我々も注目していこうと思っています。

2008年02月12日(火) 20時09分 | URL | 編集


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