道具への拘り(楽器編)

風邪でボ~ッとしながら思いついたことがありました。これまで趣味についてあれこれ記事を書いてきましたが、現在までにどれぐらいの道具を使ってきたんだろう、何に拘って選んできたんだろう。改まって思い返すこともなかったように記憶しています。みなさんにご紹介しながら、自分もいっしょに振り返ってみようと思ったわけです。

第1回は「楽器」アコースティックギターについて書きたいと思います。最初にギターを購入したのは13歳の時でした。リハビリのために施設に入っていた時、ギターと歌のメチャクチャ上手い男が入所してきました。彼がギターの師となるわけですが、その時のギターはクラシックにスチール弦を張ったもの。知識もないのでそれが1番だと思い込んで、親にヤマハ製のクラシックギター(9,000円)を強請り、同じ様に弦を張って練習をしていました。

中学3年の時に普通中学へ編入しました。小学6年の時に友達と別れて久しぶりの再会でした。その中の一人が井上陽水のファンだと知り、自宅へ遊びに来た時に何気なくギターを弾いたことにえらく感激されてしまいました。文化祭へ出たら?というひとことに調子付き、大したウデもないのに出ることを決めてしまいました。ところが、愛用していたギターは長年のスチール弦の張力でネックが反ってしまい、すぐにチューニングが狂ってしまうという悲惨な状態に。文化祭はもう少しマシなギターで演奏したいと思い、またまた親に誕生日というお題目をくっつけて、モーリス製の「W-25(25,000円)というドレッドノートタイプのフォークギターを手に入れました。音の響きとコードの押さえやすさに目からウロコ状態。無事文化祭のステージを乗り切ることが出来ました。ここで相棒リッキーと知り合うことになります。

このギターは高校の文化祭やクラブ活動で本当によく使いました。今から思えば大した音は出なかったと思うのですが、自分にとっては宝物でした。
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高校の文化祭での1コマ。当時ギターを飾るのが流行っていたんです。オヤヂにもこんな時がありました。

しかし、物欲はまたまた顔を出してきました。大学が東京だったので、暇さえあれば御茶ノ水の楽器街へ足繁く通っていました。そこでアメリカのオベーションというギターに出会いました。トップ(表)は木ですがバック(裏)はグラスファイバー。当時南こうせつが「アダマス」という最高峰のギター(1,000,000円)を使っていて、初めてアコースティックギターにアンプを組み込んだ画期的なものでした。それが頭にあったので、どうにかしてオベーションを手に入れたいと思い、バイトで稼いだ僅かなお金を頭金にして10回の分割で購入。機種はアンプも付いていないずっと安価な「グレンキャンベルアーティスト」(200,000円)でした。

ところが、このギターには泣かされました。もっとも自分の不勉強が原因なのですが、グラスファイバーは目新しいばかりで、アンプがなければまったく音が前へ出て行かないことが判明。生音はどこかペタペタッとしたもので、「ジャリ~ン」とした憧れの音にはほど遠いものでした。残ったものはショックとローン、ライブハウスで鳴らないギターを弾いてバイトしながら、完済しても次のギターが買えずに4年を過ごしました。
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鳴らず響かずのギターを抱えて、ライブハウスで歌っていた頃です。19歳でした。

卒業後地元で就職してからというもの、新しいギターを買うために関係書を読み漁って猛勉強しました。メーカーの歴史や特色、木の材質や共鳴の仕組みまで、論文が書けるんじゃないかというほど熱くなりました。そして月に一度は東京の楽器店へ出掛けて行って、実際に音を確認していました。
ある日、地元でライブを行う際にお世話になっていた楽器店の店長から、いいギターが入ったから弾いてみないかという連絡がありました。それはアメリカのギルドというメーカーの新作ギターでした。弾いてみると低音が良く響き、強く弾いても弦のビビリはなし。材質はスプルースという上質の木で、木目も綺麗に出ていました。とにかく非力なオベーションから比べると歴然の差。当然ながら値段もよく、何と520,000円という高額でした。果たして自分のレベルにふさわしい楽器なんだろうかと1ヶ月ほど悩みましたが、音楽の仲間からの薦めもあって、この「D-70」を購入しました。その後は本当によく弾き込みましたが、ほとんど日本には入ってこない機種だったらしく、メンテナンスの際には神戸にある代理店へ送り、部品の到着を待って作業を始めるために、戻ってくるまでに2ヶ月ほどかかりました。さだまさしも一時期このギターを使用していました。
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地元の音楽祭へ参加した時の写真です。30歳の頃かな。ギルド「D-70」は大活躍してくれました。

結局このギターは18年間手許にありました。木も枯れて乾いたイイ音になってきましたが、さらにイイ音を求めたくなってきました。アコースティックギターを弾く者(偉そうですが)にとって、アメリカ・マーチン製のギターは一度は手にしたい憧れの存在です。学生時代、再結成した「かぐや姫」のライブで聴いた正やんの「D-45」の音色で、「いつかはマーチン」と心に決めていました。

サイトで知った楽器店「BLUE-G」、ビンテージギターを扱う専門店です。そこへ出掛けて行って1980年製造の「D-41」を、店長に探してもらうことにしました。「D-45」はとても手を出せるシロモノではありません。1ランク下の「D-41」ですが、倍音の素晴らしさ、あくまでもきらびやかで奥の深い艶のあるトーンは、時には弾き手さえ選ぶこともあります。とても量産品とは思えない細部の丁寧な作りを見れば、思わず納得してしまいます。特に1980年の「シトカスプルース」の木は大変質が良く各雑誌でも取り上げられていましたが、それだけに程度の良いUSED品はなかなか市場に出て来なかったんです。
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1ヵ月後入荷したという連絡があり、さっそくお店へ。すでに20年を経過しているのでスプルースは黄色く焼け、弾くと鈴のような音がボディを伝わり、まさにマーチンの音そのものでした。アメリカではセミプロが使用していたワンオーナー品だということでした。価格は450,000円。ギルドの下取りが250,000円なので追い金は200,000円なり。その場で決めました。調整などで手許に届いたのは2週間後、それ以来大切なパートナーとして現在に至っています。購入してからすでに7年が経過しましたが、木が枯れてますます乾いた音になっています。

アコースティックギターはアンプではなくマイクで拾うもの、自分にはそんな拘りがあります。ごまかしの利かない、原音が納得のいく楽器を使いたい。そう思ってマーチンに辿り着きました。恐らく一生ものになると思います。先にくたばるのはオヤヂかギターか・・・ってところでしょうか。最後まで読んで下さってありがとうございました。
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2006年11月に行った「FFR」ライブでもマーチンは大活躍。リッキーのギブソン「DOVEモデル」もイイ音してました。左は音楽監督の渡辺総生氏。

コメント

ピンピンシニア #-

さすが、すごいこだわりがありますね。
私も、大昔、フォークギターというものを持っていましたが、安物でした。
信念を持って探求していいギターにめぐり合えたのだと思います。
最近、何か楽器の一つをやってみようかなと思い始めました。
もっとも、縦笛と、ハーモニカとカスタネットしか知らないので。

2007年11月22日(木) 05時46分 | URL | 編集

frusic #qqvQ5iVU

凄いですね。
その知識から情熱が伝わってきます。

御茶ノ水ですか?
懐かしいです。
実は、大学が御茶ノ水だったので。
あの辺りは、楽器屋さんが多いですね。
そんでもって、実は・・・
私もそこで、ギターを買ったことがあります。
友人に勧められ、音楽に挑戦しようと思い。
ヤイリのギターを買いました。
またまた、実は、知らなかったのですがね。
友人(同郷)は、ヤイリがお勧めだと言っていたのです。
というのも、ヤイリの会社は私たちの住んでいるところなんですよ。
それも知らなかったです。
それほど、音楽には疎かったのです。(笑)
今は、倉庫で眠っています。
いつかやろうと思って・・・。ギターさん、ゴメンなさい。
譲ってほしいと言われてたんですが、手放せないでいます。

それから、エレキギターの方なんですが、
フジゲン楽器の会長さんに去年お会いしましたよ。
横内祐一郎さんと言う方です。
とても紳士で、控えめでいまだに情熱を持っておられる方でした。
当時、ニューヨークへ行って行商していた話とかエピソードを
たくさん聞かせた頂きました。

音楽ができるギターオヤヂさん、羨ましいですよ。

2007年11月22日(木) 11時17分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

ピンピンシニアさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

どんな方でも一度はギターを手にするようですが、押さえられないコードに出くわすと挫折してしまうようです。自分もやっとこさ弾ける程度ですが、とにかく若い時は曲が弾けるようになることが1番の励みでした。

楽器、ぜひ始めてみて下さい。リコーダーもハーモニカも、やり始めると奥が深かったりします。山頂でハーモニカを吹いたら、きっとカッコイイですよ!

2007年11月22日(木) 20時29分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

frusicさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

frusicさんもギターを持っていらっしゃるんですか。ヤイリは「K」でしょうか? ヤイリもいいギターを作るメーカーです。ギルドを使っていた時にサブとして友達のKヤイリを借りていました。強いタッチには苦手な面もありましたが、芯のしっかりした歯切れのいい音でした。未だに手放せないでいらっしゃるのは、それだけ愛着がある証拠です。一度見せていただきたいなぁ・・・なんて。

フジゲンもヤイリも、工房が都会でないところに好感が持てます。ひとつひとつハンドメイドでの製作だから、根強いファンがいるのだと思います。フジゲンのレスポール(エレキ)は、仕上げの良さとバランスの良さがウリです。

2007年11月22日(木) 20時49分 | URL | 編集

蜩 #-

こんばんは♪

凄いこだわりですね!
私なんて、ギターの“ギ”の字もろくに知らないのに…
高校の時にすでに働いていた姉からの誕生日プレゼントだったモーリスのギターも、自己流のいい加減なやり方で弾いていました。ギターに対してとても申し訳ないなと思っています。
黒猫のブログでご存じの通り、巡り巡ってまた私の手元に戻って来ましたが、いまだにチューニングができません(>_<)
アリスの谷村新司さんのファンで、是非自分で弾き語りがしたかったんですが、仕事を始めてからは、なかなかギターの相手ができなくなっていました。
もっと、ちゃんとした先生について教えてもらえればよかったなぁと思っています。もう、無理でしょうかネ。

2007年11月23日(金) 00時17分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

蜩さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

いくら拘ってもそれに比例してウデが上がる訳ではないので、そのあたりが少し寂しいところです。ただ納得して買えば、ずっと愛着を持っていられるとは思っています。

「モーリス持てばスーパースターも夢じゃない」っていうチンペイさんのコピーでモーリスは売れました。自分もそうでしたから。実は次の講演会では「ジョニーの子守唄」を歌う予定で、現在稽古の真最中です。
時間とやる気があれば、いつ再開しても大丈夫だと思いますよ。チューニングだって笛やメーターがありますから。相棒もチューニングには四苦八苦してます(笑)。

2007年11月23日(金) 00時43分 | URL | 編集

海月 #9xVGaoVI

おはようございます

おぉ!
ついに「マーチン」まで行ったのですね!!
実は私も、一番最初は「ヤマハ」の「クラッシクギター」
でした^^
今思うと「どよーん」という感じの音だったような‥
そして、その後は、やはり同じように「モーリス」でした(*^^*)
金額は、やはり同じくらいだったでしょうか?
初めて手にしたアコースティックって
嬉しいですよね。
私も「マーチン」は憧れでしたね~。
もうギターの専門書を見ては、溜息ばかりでした^^

これからも、リッキーさんとギターと共に
演奏を楽しんでくださいね(*^^*)

2007年11月23日(金) 06時39分 | URL | 編集

副社長 #RbGeqkE.

音楽そしてギターのことは、まったく知識がない副社長です…*^^*
でも、その情熱は伝わってまいりましたよぉ。*^^*

リッキーさんと中学から…。
深い深い縁のおふたりなのですね。

2007年11月23日(金) 08時35分 | URL | 編集

lunaはちこ #-

楽器もピンからキリまでですよね~v-61
私も短大時代にトランペットを購入しましたe-469
2年前にはクラビノーバを購入しましたe-453
どれも値段はピンキリで…私の買えるのは勿論、安い側ですe-263(笑)
そうそう、バレーシューズもピンキリですねe-330
良い道具も大事だけど、値段はともかく、相性の良い“道具”と
出会えたら嬉しいですよね♪
↑ライヴ写真、本格的ライヴスタイルですね!えぇわぁv-398

2007年11月23日(金) 09時02分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

海月さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

ギターとのスタート地点が似ていますね。クラシックは別にしても、「モーリス」は絶大な人気がありましたから。まわりは「ヤマハ」と二分していました。弾き比べして、青臭い評論を闘わせていましたよ(笑)。

いい楽器に巡りあえるのはイイ音を手に入れられるだけでなく、安心して演奏出来るというメリットもあります。何に対しても同じだと思いますが、信頼出来る者に出会えるのは心強いです。

リッキーとは腐れ縁ですが、なくてはならない大切なパートナーです。これからも楽しみながら演奏を続けます。

2007年11月23日(金) 22時33分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

副社長さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

副社長さん音楽は聴かれるようなので、それで十分だと思います。音に関わりを持てる喜びは、演奏することも聴くことも同じ気がします。音楽が好きな方は、それぞれの楽しみ方でいいんですよね。

途中でまったく会わなかった時期もありますが、結局はまた活動してるんですよね。ラジオや講演会・ライブと、お互い切磋琢磨しながら楽しんでます。

2007年11月23日(金) 22時44分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

lunaはちこ さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

仰るように道具はピンキリですよね。高価なものを購入しても、相性が悪ければ何もなりません。安心して自分のしたいことを任せられる、そしてそれにしっかり応えてくれる、そんな道具に巡りあいたいです。今の「マーチン」は逆にオヤヂが操られているような気がします(笑)。

大きいものから小さいものまで、ライブは実に楽しいです。たまに予想だにしない事態に出くわすこともありますが、割合にすれば微々たるものですから。音に関われることに幸せを感じています。

2007年11月23日(金) 22時55分 | URL | 編集

はらぐろ #mQop/nM.

ギターオヤヂさんへ

うーん、正直、内容が難しすぎて。。。
ついていけませんでした。

ごめんなさい。

楽器にとても思い入れがあるのですね。。。そして、すごい値段なのも、かなりびっくりしました。

2007年11月24日(土) 00時43分 | URL | 編集

PON #pmEkgj5E

文章から熱が伝わってきましたよ、ギター熱!
わたしも難しいことは分かりませんが、
何事も奥深いのですね。
それを探究心、勉強熱心なギターオヤヂさんは
ご自身のモノにしたんですから、すごいです。
そこでの出会いもステキなものですよねv-352

2007年11月24日(土) 21時57分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

はらぐろさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

そうですね、普段関わりのない方には難しいというかコメントのしようがない記事でした。それなのに立ち寄っていただいてうれしいです。

何でもそうだと思うのですが、品物にはピンからキリまでさまざまな種類やレベルがあります。高ければ良品かと問われると、一概にそうとは言えません。ただ相性が合う確率は格段に高くなります。だから突き詰めていくと、それなりの価格になってしまうんです。

2007年11月24日(土) 22時41分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

PONさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

趣味の中では音楽が1番長い付き合いです。根本的には、やはり好きで好きで仕方がないのだと思います。単にスタイルがいいとか、カラーリングがいいというだけでもギターは購入出来ます。音に拘ったり弾き具合を求めると、勉強しないとそういうものには出会うことが出来ないと自然に思いました。

たくさんの方々と同じ時間を共有出来たり、個人的なお知り合いが出来るというのは、生きていく上でとてもありがたいことだと感じています。恐らく手が上がらなくなるまでギターは続けると思います。

2007年11月24日(土) 22時51分 | URL | 編集


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2008年01月10日(木) 19時45分 | 本ナビ!by Tamecom,道具への拘り(楽器編)

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