「あと一人」の壁

昨日は少年野球のジュニア大会公式戦でした。日頃裏方に回ることの多い、5年生以下選手の晴れ舞台です。スタメン出場する選手の親御さんたちは、やはりどことなく落ち着きがありません。試合開始の30分前にはほとんど応援席に陣取り、我が子の動きを目で追っていました。いつもは花形のレギュラー陣も、後輩たちの球拾いや用具の準備と裏方仕事に大忙し。レギュラーはこれまでのところ、お恥ずかしい話ですが公式戦で未だ勝利がありません。練習試合では輝かしい戦績なのですが、本番になると力んだり緊張したりで火ダルマ状態になってしまうのが最大の敗因。ところがジュニアはちょっと違う。怖いもの知らず?無欲?理由はどうであれ淡々とした試合運びで、気が付くと勝利してしまうことが多いのです。応援席では、
「レギュラーよりは希望が持てるかな」
という声も。様々な思惑が蠢く中、3チーム総当りの公式戦がスタートしました。

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(4年生のエース・芝山選手)

1試合目は、わが「清水町少年野球団」と「リトルメッツ」(以後LM)。後攻なので、いつものようにマウンドには4年生のエース芝山投手が上がりました。父親と二人で鍛えてきた現代版「巨人の星」。肩が強く、稀に見る逸材です。
初回は無難に3者凡退に退け、野球団の攻撃。ありゃ?選手の動きがぎこちないぞ。もしかして緊張してるのか?やっぱり公式戦というのは、独特の雰囲気なんでしょうね。こちらも無得点。ただ守備に関してはとてもしっかりしていて、フライやゴロを基本に忠実に捕球して、確実にアウトを取っていきます。

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(盗塁阻止率が素晴らしかった!)

3回に四球とヒットなどで、LMが先取点。以後ガマンの野球が続き、5回に芝山投手の3塁打が出るも、牽制球が後方に逸れたのを見て本塁突入しましたがアウト。マンガの吹き出しになりそうな「ハァ~~~」というため息が、応援席から漏れました。しかし、次打者の高島選手のヒットを切っ掛けに同点。そして同じ様なパターンで、6回にはとうとう1点勝ち越しに成功しました。この時の応援席ときたら・・・だいたい想像はつきますね(笑)。

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(芝山投手レフトオーバーの3塁打!)

最終回(7回)に、疲れの見えた芝山投手から高木投手にスイッチ。ランナーを1、2塁に背負いましたが、これまた鉄壁の守りを貫き、2-1で野球団は記念すべき公式戦1勝を収めることが出来ました。常勝チームにしてみればお恥ずかしい光景かもしれませんが、どれだけこの1勝に価値があることか。レギュラーもバックネット裏の最前列で、休むことなく大声で応援し続けました。
「これは、このチームに関わる人たち全員の勝利だ!」
と、普段は辛口の監督も大絶賛。いい雰囲気のまま昼食を摂り、2試合目の「ドリームキッド」(以後DK)とLMを横目で見ながら、隣のグラウンドで調整を行いました。この試合は打撃戦。無敵のDKにLMがよく喰らい付きましたが、わずが1点及ばず7-6でDKの勝利。

1勝同士で、3試合目は少年野球団とDKの戦いとなりました。この試合では先攻。1回無得点の後、高木投手がマウンド、そして芝山投手がサードの守備に入りました。DKの武器は機動力。わずかなスキを突いて、どんどん走ってきます。ヒットに盗塁、そして不慣れな守備位置というのも手伝ってか、芝山投手がランナーに翻弄されて3点を献上。続く2回も同じパターンで2点を取られ、0-5となってしまいました。監督はここで、1試合目と同じポジションに変更。すると、チームは生まれ変わったように息を吹き返しました。3回に一挙5点を取って同点に。その後2点を取られますが、とにかく走り回るDKの盗塁をことごとく阻止。鉄壁の守りは、集中力が持続している証拠です。その甲斐あって6回に1点差、そして最終回には、この日の打率5割以上を誇る高島選手の長打が炸裂し、とうとう同点に追いついてしまったんです。

自分はこの試合1塁側のベンチ脇で撮影をしていましたが、スタンドから聞こえてくる応援の声が半端ではなかった。だって最終回に同点に追いつくなんて、これほどの試合展開はないでしょう。ウラの攻撃も無得点に抑え、ボルテージは最高潮。後ろで観戦していたLMの親御さんも
「たまんねえな、こんな試合」
と、敵チームながらあっぱれと興奮気味に言っていました。

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(本日の打率5割以上 高島選手のタイムリー!)

さあ、特別ルールによる延長戦です。監督の言葉ではありませんが、野球団関係者のすべてが一丸となって、勝利の2文字を祈念していました。ところがこの後、とてつもない大きな壁に選手たちはぶち当ることになります。

特別ルールとは・・・。野球団は5番打者から始まりますが、2番が3塁、3番が2塁、そして4番が1塁に就き、無死満塁から試合がスタートします。いやはや、これはものすごいプレッシャーがかかります。もちろん両チームにですが。
それがまず野球団に表れました。浅いレフトフライでタッチアップが出来ず、以後三振と内野ゴロ。無死満塁で、しかも少年野球で1点も取れないという結果に、心のどこかに不吉な予感が湧いてきました。

でも、DKも同じ。三振とピッチャーゴロで2アウトになりました。次打者は体も小さく、芝山投手なら問題なく抑えられると確信していました。左のバッターボックスに入り、4球目を強振。案の定、捕球に絶好のゴロがセカンドに転がりました。二塁手は鉄壁、さあこれで次の回で逆転!と思ったその瞬間、ボールは差し出したグラブの下をするりと抜けてライトへ・・・。悲鳴に近い声が押し寄せてきました。ゲームセット。選手たちは茫然自失、二塁手はその場に崩れてしまいました。監督に促されて整列したものの、全員が泣いていました。
「こりゃ、選手たちには残る試合だね」
後ろで先ほどの親御さんがポツリ。引き上げて来る時、二塁手の親御さんの目が真っ赤でした。

試合は7-8のサヨナラ負け。結果的には二塁手のエラーで幕引きとはなりましたが、オモテの攻撃で無得点だったことや、6回無死2、3塁の絶好機に、サインミスとウエストボールで、二者連続のスクイズ失敗も敗因にひとつでしょう。でも、本当に壮絶な試合でした。これほどまで粘って全員が大泣きする試合を、レギュラーは経験したことがありません。羨ましいと口惜しがったことでしょう。「野球は下駄を履くまでわからない」「一球に泣いた」とよく言いますが、選手たちはそれを身に沁みて感じたはずです。
オモテの攻撃だったので、次の回に得点しても勝てるという保障はありませんが、雰囲気がよかったので少なくとも「あと一人」をアウトにすれば、何とかなっていたかもしれません。

3試合すべてが1点差という好ゲーム。勝ったチームも負けたチームも、そして声を枯らして応援した親御さんたちにとっても、忘れられない1日になったはずです。

おめでとう、「ドリームキッド」! 
次は頑張ろうな、「少年野球団」!


この度の地震により、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

コメント

紅緒 #TEzGU1vU

こんばんは♪
記事を読ませて頂いて、どきどきしてしまいました。
「ドリームキッド」「リトルメッツ」そして、「清水町少年野球団」の3チームの選手のみなさまと親御さん、ご苦労様でした。
これからも、頑張れ~~♪♪

また、主人の手術日と入院日がやっと決まりました。
主人も私も決まるまでは落ち着かず、身体の調子も崩し気味でしたので…あとは入院する日まで、体調を整えておかないと!と思っています。

2007年07月18日(水) 22時15分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

紅緒さん

こんばんは。
エラーをしてしまった二塁手とその親御さん、立ち直ることが出来たかなぁと少し気になっています。相当にへこんでましたからね。ただ彼は4年生なので、まだまだ先があります。もともと器用な選手なので、強さを身につけて頑張ってほしいと思います。

ご主人の入院と手術の日程が決ったのですね。当面の目標がはっきりしたので、それに向けて準備の日々が続くことになりますが、ご家族が目的に向かってひとつになる滅多にない機会だと思います。揃っての時間を大切にして下さい。またご主人には、この際仕事のことは完全に忘れて、治療やリハビリに専念していただきたいと思います。お大事にして下さい。

2007年07月19日(木) 00時13分 | URL | 編集

シチューパン #3p3E4xCk

 ありました。そういうこと。
 本当に野球は最後の最後までがドラマです。だから面白いのですが。
 思い起こせば、採用試験の前日、勤めていた高校の夏の予選大会で応援に行き、審判のミスジャッジの1点にみな泣くことになりました。(審判が後でミスジャッジを認めたものの結果は変わりません。)みんなで泣いて悔しがって夜中まで騒いで、翌日受験をしたのでした。
 試合は下駄を履くまでわからない。それを楽しめるようになると、イチローみたいな人になっていくのかもしれませんね。

 頑張れ! 少年野球団!!
 

2007年07月19日(木) 05時50分 | URL | 編集

海月 #9xVGaoVI

おはようございます

読んでいてドキドキしました(*^^*)
まるで目の前で試合を見ているかのよう…
ギターオヤヂさんの撮った写真も、また迫力で
特に二枚目の写真が素晴らしいです!
駆け込んだところにボールがグローブの中に入ってて
審判さんの気迫さも伺えます(*^^*)

最後の最後まで
みんな頑張りましたね!
きっと、みんなの心の中に響いた試合だと思います(*^^*)
ボールを取れなかった彼が元気が出たかな~・・
と気になりました。
でも、みんなそういうことがあって
「頑張るぞ!!」
って思うのですよね(*^^*)
みなさん、お疲れ様でした!!

2007年07月19日(木) 06時53分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

シチューパンさん

こんばんは。
誤審ていうのも辛いなぁ・・・。ヒットやエラーで試合が決るのなら納得もしますが、意識もしていないところに敵がいたとは。立ち直れないですよ、これは。加えて翌日の受験もスゴイ!

プレッシャーをエネルギーに代えて、楽しめるのは究極ですね。少年野球でも、そこまではいかずとも、それに近い雰囲気で試合を進めることが出来るチームはやはり強豪です。
応援ありがとう。次は頑張ります!!

2007年07月19日(木) 20時10分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

海月さん

こんばんは。
長い文を読んでいただき、ありがとうございました。写真は250枚ほど撮影しましたが、使えた(と言ってもこの程度ですが)のはほんの数枚でした。相変わらずヘタクソで力が抜けます。

選手たちは、本当に頑張りました。でも、口惜しさを忘れてしまっては何もなりません。次の日曜日も練習試合があります。そこでひとりひとりがどういう顔つきで試合に臨むか、オヤヂはファインダー越しに確認してみるつもりです。

2007年07月19日(木) 20時41分 | URL | 編集

ピンピンシニア #-

ヤダモン、懐かしいですネエ。何でもヤダモンって言うんですよね。食いしん坊のモグモグといつも震えているブルブルなんていうのがいましたっけ。
いつも間にか、童心を忘れ、久しいです。
歳をとっていくと、また人間は童心へ戻るようなことを聞きますが、それはかなりのご長寿の場合なのでしょうか。
今は年金問題やその他で、童心に戻っては生きていけない世の中になりつつあります。
いじわるばあさんも懐かしいです。
さざえさんは、何年経っても歳をとらないし、不思議な世界です。

2007年07月21日(土) 07時36分 | URL | 編集

ギターオヤヂ #QjtTlS4.

ピンピンシニアさん

ピンピンシニアさんもよくご存知ですね。ブルブルも好きなキャラでした。「こんなこ-」を観始めた時はすでにいい歳でしたが、子供の頃を思い出しましたよ。
年金の問題は心が痛みます。毎月支払ってきたものが、いとも簡単に「証拠がありませんから」と支払いを拒否されます。ようやく国が襟を正し始めました。息子たちが年金を受け取る頃は、いったいどんな世の中になっているんでしょう。歳をとらないサザエさん、やはり不思議ですね。

2007年07月21日(土) 21時09分 | URL | 編集


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