机上旅行 1

カッコつけると、virtual trip とでも言うんでしょうか。
愛読書のひとつに時刻表があります。「隠れたミリオンセラー」と呼ぶ人もいるくらい、誰でも一度は手に取ったことがあると思います。自分はコイツと出会ったのが中学1年の時で、狭い机の上で日本中を旅出来る魅力に嵌ってしまい、一時は仕事の道具としても使っていました。
最高気温が8度の静岡県東部、今日は久しぶりにのんびりと机上旅行を決め込みました。

本棚から引っ張り出した時刻表は、1987年4月号。国鉄からJRに切り替わって最初のものです。3月号までは、背表紙に「日本国有鉄道編集」と記載されていました。4月号の編集も国鉄なのですが、「JNR(JAPAN NATIONAL RAILWAYS)編集」と変更されています。5月号から「JR編集」と記載されるために、アルファベットを用いてイメージギャップを少なくしたのだそうで、言わば後にも先にも「JNR編集」と記載された時刻表は、これ1冊だけです。
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今まで大切に書棚に保管していましたが、ふと机上旅行を思い立ち、どうせなら列車に乗ることが1番楽しかった頃の時刻表を使おうということで、20年ぶりに開くことにしたわけです。

さて、どこへ行こう。
巻頭の路線地図を見ると、この頃はまだずいぶん路線が残っていたことに驚きました。この20年で、鉄道はずいぶんスマートで便利になりましたが、それと同じぐらい無味乾燥にもなってしまった気がします。

1番変わってしまった地域は・・・北海道。すべて消えてしまった列車を乗り継いで、最北の町・稚内へ向かうことにしました。

出発は誰もが知っている上野駅。この駅には3つの顔があります。一つ目は、高架ホームを行き来する、山手線や近郊型電車。大都会の中枢を担う顔です。二つ目は、行き止まり式の地平ホームを使う、信州・北陸・東北への長距離列車。ふるさとへ誘う顔です。そして三つ目は、地下ホームから出発する新幹線。東北方面を一気に日帰り圏内にしてしまった、まさにJRの顔です。

今回はのんびりと列車に揺られたかったので、寝台特急「はくつる1号」に乗り込むことにしました。13番線に降りると、すでに列車は入線していて、新聞を積み込んだり出発準備の真最中。青森までおよそ9時間の旅なので車内販売はなく、当然のことながら自販機の設置もありません。おにぎり弁当500円とお茶を買い込んで、3段式寝台の下段に陣取りました。

22:20、電車なので出発時の衝撃もなく、ゆっくりと上野駅を出発しました。しばらくは通勤電車と併走します。サラリーマンから羨望の眼差しを投げかけられた時、別世界にいる自分に気付いて、初めて旅人らしい顔つきになる瞬間です。

駅弁を食べ終わる頃、ポイントを渡る回数も減って、都会を離れたことに気付きます。通過する大きな駅は、まだ煌々と明かりが灯っていますが、それ以外は常夜灯が勢いよく後方へ消え去る様子しか確認出来ません。車内は減光されて、寝息も聞こえてきました。当時の自分は、寝台で眠った記憶がないのですが、歳をとった今は、心地よい揺れと繋ぎ目の音が、夢の世界へ引き込もうとしています。そして23:50に宇都宮を出発したのを最後に、眠りに落ちてしまったようです。

続きます・・・。

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